結論――清水建設は、会社名より採用区分と初期配属を見る
2026年3月期の清水建設は、連結売上高2兆578億円、営業利益1,186億円、経常利益1,223億円、親会社株主に帰属する当期純利益1,266億円だった。前期に比べ、売上高は5.8%、営業利益は67.1%、当期純利益は91.8%増えた。
この伸びを一つの理由で説明してはいけない。営業利益が増えた大きなわけは、国内建築工事の採算が良くなったことである。一方、単体の当期純利益には、政策保有株式の売却益879億円が入っている。本業でかせぐ力と、持ち株を売って得た利益は分けて読む必要がある。
就職・転職先として、さらに大切なのは人の置かれ方である。清水建設単体の従業員11,434人のうち、建設事業に属する人は9,721人で、投資開発事業は109人である。「超建設」ということばから、不動産、宇宙、海洋、新エネルギーなどを思い浮かべても、本体社員の多くが働く場所は、今も建築・土木を中心とする建設事業である。
採用から初期配属まで
採用法人:清水建設株式会社
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採用区分:グローバル職/エリア職
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応募職種:建築、設計、設備、土木、見積・調達、情報、開発、文系、SVなど
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初期配属:本社、総本部、支店、作業所、専門部署
清水建設は、建築の名門や「超建設」という印象だけで選ぶ会社ではない。グローバル職かエリア職か、どの職種へ応募するか、本社・支店・作業所のどこで仕事を始めるかによって、身につく力と暮らし方が大きく変わる。
主な数字――好決算でも、工事の採算は動く
| 主な数字 | 2026年3月期 | 読み取り |
|---|---|---|
| 連結売上高 | 2兆578億円 | 国内外の建築・土木が土台である |
| 連結営業利益 | 1,186億円 | 国内建築の工事採算が良くなったことが大きい |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 1,266億円 | 持ち株の売却益など、本業外の利益も入る |
| 単体受注高 | 1兆8,045億円 | 建築が約8割を占める |
| 連結従業員数 | 22,278人 | 契約社員2,100人を含む期末人数である |
| 単体従業員数 | 11,434人 | 契約社員199人を含む |
| 平均年齢 | 43.7歳 | 契約社員を除く11,235人が対象である |
| 平均年間給与 | 1,043万1,000円 | 期末手当と諸手当を含む単体平均である |
平均年間給与は高い。ただし、平均年齢43.7歳、平均勤続年数16.1年の社員をもとにした数字である。若手の給与をそのまま示す数字ではない。
また、2026年3月期末の工事損失引当金は、連結で631億円だった。前期末の1,027億円から減ったが、ゼロではない。建設工事では、資材費、人件費、設計変更、工期の遅れなどにより、受注した後でも利益が削られる。
したがって、好決算だから現場の負担が軽くなるとは限らない。営業、見積・調達、施工、作業所事務、法務は、受注前の見積もり、施工中の原価、追加変更の書面化、発注者との話し合いを通じ、同じ工事の利益を守る。
何でかせぐ会社か――建築が売上と人の土台である
| 区分 | 外部向け売上高 | 連結従業員数 | 就職・転職での見方 |
|---|---|---|---|
| 清水建設本体の建設事業 | 1兆4,778億円 | 9,721人 | 本体社員の主な働き場。建築と土木、国内と海外を含む |
| 清水建設本体の投資開発事業 | 526億円 | 109人 | 利益率は高いが、人は少ない |
| 道路舗装事業 | 1,557億円 | 2,931人 | 主に日本道路が担い、本体採用とは雇用の入り口が違う |
| その他 | 3,717億円 | 9,517人 | 成長分野だけでなく、多くの国内外子会社を含む |
清水建設本体の建設事業を細かく見ると、国内建築が1兆1,278億円、海外建築が512億円、国内土木が2,591億円、海外土木が396億円である。建築は、本体建設事業の約8割を占める。
「建築の清水」という見方には数字の裏づけがある。ただし、建築の中も一つではない。病院、工場、データセンター、事務所、再開発、社寺などでは、顧客、工期、設備、安全、品質の重みが違う。施工、設計、設備、見積・調達、営業のどこへ入るかでも、仕事は大きく変わる。
「超建設」――広い将来像と実際の配属を分ける
清水建設の「超建設」は、今ある建設の技術や顧客とのつながりをもとに、不動産、エネルギー、建物の長い手入れ、宇宙、海洋、自然共生などへ仕事を広げる考え方である。
会社の行く先を知るうえでは大切だが、会社が力を入れる事業と、社員が多く配属される場所は同じではない。本体の投資開発事業は109人であり、宇宙や海洋などのフロンティア事業も、職種別の配属人数や異動人数は公表されていない。
不動産開発や新エネルギーに進みたい人は、事業があることだけで決めにくい。直近の新卒配属人数、社内異動人数、出身職種、異動までの年数が分からなければ、自分がその仕事へ進めるかは読めない。
グローバル職とエリア職――勤務地を先送りしない
グローバル職は、原則として職務と勤務地を限らず、国内外の事業所で働く区分である。エリア職は、採用時に決める支店または部門を主な働き場とし、その地域または部門をもとに働く区分である。
| 項目 | グローバル職 | エリア職 |
|---|---|---|
| 勤務地 | 国内・海外の各事業所 | 採用時に決める支店が原則 |
| 職務の範囲 | 原則として限らない | 特定の勤務地または部門をもとに働く |
| 新卒学士の採用給 | 月30万円 | A地域27万円、B地域25万8,000円、C地域24万6,000円 |
| 主な職種 | ほぼ全職種 | 支店ごとに建築、設計、設備、文系など |
| 区分変更 | 直近の変更人数や変更後の給与は公表されていない | |
エリア職でも、採用支店の管内に作業所があれば、同じ市内だけで働けるとは限らない。グローバル職では、転勤や海外勤務を受け入れる広さがある一方、家族や暮らしへの影響も大きくなり得る。
勤務地の広さは、若いうちと、結婚、子育て、親の介護が始まった後とで重みが変わる。「転勤がありますか」という一般的な問いだけでは足りない。同じ職種の社員が、直近にどこからどこへ動いたかという実績を見る必要がある。
本体とグループ会社――同じグループでも雇用は別である
清水建設グループには、日本道路、あおみ建設、清水総合開発、シミズ・ビルライフケアなどがある。グループ会社になったことと、清水建設本体の社員が自由に行き来できることは別である。
| 法人 | 主な仕事 | 採用・雇用の入り口 |
|---|---|---|
| 清水建設株式会社 | 建築、土木、海外、投資開発など | 清水建設が採用し、原則として同社と雇用契約を結ぶ |
| 日本道路株式会社 | 道路舗装、道路の手入れ | 原則として日本道路が別に採用する |
| あおみ建設株式会社 | 海洋土木、陸上土木、地盤改良 | 原則としてあおみ建設が別に採用する |
| 清水総合開発株式会社 | 不動産開発、賃貸、管理 | 原則として同社が別に採用する |
| シミズ・ビルライフケア | 建物の改修、維持管理 | 原則として同社が別に採用する |
出向では、雇用契約、給与の支払い元、評価者、退職金、勤続年数の扱いがそろうとは限らない。会社ごとの出向人数、出向期間、本体へ戻った割合は公表されていないため、グループが広いことだけで将来の選べる仕事が広いとは言い切れない。
無料版での小結論
清水建設は、国内の民間建築に厚みがあり、建物の用途を深く学び、設計、設備、施工、営業を近くでつなぐ経験をねらう人には有力な会社である。
ただし、応募時点で職種を一つ選び、採用区分によって勤務地の広さも変わる。本社勤務や投資開発、宇宙、海洋、新エネルギーなどを思い描いていても、実際には建築・土木の支店や作業所が主な働き場になる可能性が高い。
無料版から分かるのは、清水建設では会社名や平均年収より、採用区分、応募職種、初期配属を先に見る必要があるということである。自分の職種で3年後にどの数字を持てるか、40代以降にどの仕事が残るかまで考えるには、さらに細かな情報が要る。
無料版レポートで読めるのは、ここまでです。
この無料版レポートでは、清水建設の利益回復を支えた国内建築、本体社員の多くが建設事業に属する人員構成、グローバル職とエリア職の違い、グループ会社とは雇用の入り口が別であることを整理しました。
しかし、自分の応募職種でどの仕事と数字を持てるか、現場勤務や転勤が暮らしへどう響くか、40代以降にどの道が残るかは、この無料版レポートだけでは決め切れません。
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引用元・参照資料
- 清水建設株式会社「2026年3月期 有価証券報告書」(2026年6月22日提出)
- 清水建設株式会社「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」(2026年5月12日)
- 清水建設株式会社「2026年3月期 決算説明会資料」および補足資料(2026年5月12日)
- 清水建設株式会社「経営概要」(2026年7月)
- 清水建設株式会社「中期経営計画〈2024-2026〉」
- 清水建設株式会社「2027年卒 新卒採用募集要項」および採用FAQ
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