ローム vs 村田 | 就職するならどっち?【簡易版:非会員用】

最終更新日:2026年7月18日
証券コード:ローム 6963/村田製作所 6981
著者:武山益嘉

結論――通常は村田製作所。半導体へ深く入りたい人にはロームという選び方がある

ロームと村田製作所は、どちらも京都を地盤とし、自動車、通信機器、産業機器、AIサーバーへ部品を供給する。しかし、会社の収益力、主力事業、入社後に任されやすい仕事はかなり違う。

このレポートの読者である貴方が二社から内定を得て、特別な希望がまだないなら、私は村田製作所を勧める。2026年3月期の営業利益率は、村田製作所が15.4%、ロームが2.3%である。単体の平均年間給与も、村田製作所の838万2,000円が、ロームの803万5,000円を約34万7,000円上回る。

村田製作所は、MLCCを中心とするコンポーネント事業が利益を稼ぎ、AIサーバー、車載、通信、産業機器へ顧客と用途が広がる。営業、SCM、調達、企画で、顧客の設計採用、工場の供給能力、在庫、設備投資をつなぐ仕事を任されやすい。

一方、ロームは、SiC、GaN、アナログLSI、電源制御ICなど、半導体と電力変換へ深く入る会社である。AIサーバーの電源、車載インバーター、産業機器の電力制御など、担当したい製品がはっきりしている人には、ロームを選ぶ意味がある。

ただし、ロームはSiCを中心に1,936億円の減損損失を計上し、半導体素子部門は2026年3月期に227億円の赤字だった。東芝デバイス&ストレージの半導体事業、三菱電機のパワーデバイス事業との統合協議も進んでいる。半導体へ深く入れる代わりに、工場、投資、人の配置が動く時期に入る。

武山の視点――会社全体の強さと、配属先の強さを分ける

村田製作所は全社では高収益だが、デバイス・モジュール事業の税引前ROICはマイナス3.5%である。ロームも全社の利益率は低いが、LSIは245億円の利益を出している。会社名だけで決めず、どの事業、製品、職種へ入る可能性があるかを分けて見たい。

最初に見る項目ローム村田製作所読み取り
2026年3月期売上高・売上収益4,811億円1兆8,309億円会社規模は村田製作所が大きい
営業利益率2.3%15.4%足元の収益力は村田製作所が上
単体平均年間給与803万5,000円838万2,000円村田製作所が約34万7,000円高い
主な仕事の向き半導体、電源、車載、工場投資電子部品、世界顧客、工場供給深さはローム、広がりは村田製作所
通常の判断半導体へ深く入りたい人特別な希望がまだない人村田製作所

1.村田製作所は高収益を保ち、ロームは投資の後始末を進めている

ロームは2023年3月期に営業利益率18.2%まで伸びた。その後、顧客の在庫調整、電気自動車市場の伸びの鈍化、SiCへの先行投資が重なり、2025年3月期には営業赤字となった。2026年3月期は黒字へ戻ったが、営業利益率は2.3%にとどまる。

村田製作所も、2022年3月期の営業利益率23.4%からは下がった。それでも2026年3月期は15.4%を保ち、研究開発費1,589億円、設備投資2,478億円を続けている。利益を出しながら、AIサーバー、車載、次世代通信へ資金を入れられる点は大きい。

この差は、若手が任される仕事にも表れる。ロームでは、在庫、設備稼働率、歩留まり、価格を直す仕事が増えやすい。村田製作所では、強い事業への増産と、弱い事業の見直しを同時に進める。どちらも学べることはあるが、通常の就職判断では、多くの仕事を経験し、担当範囲を広げやすい村田製作所を上に置きやすい。

見る点ローム村田製作所入社後への影響
利益を稼ぐ部門LSIは245億円の利益コンポーネント事業の税引前ROICは22.4%村田製作所は主力事業の資金回収力が高い
直す部門半導体素子は227億円の赤字デバイス・モジュールの税引前ROICはマイナス3.5%両社とも配属先の採算を見る必要がある
最大の顧客市場自動車向け49.2%通信35.7%、モビリティ25.9%ロームは車載への集中が高い
AIサーバーとの結び付きSiC、GaN、電源制御ICMLCC、インダクタ、電源・通信部品電力変換はローム、部品数と供給量は村田製作所
設備投資の課題今ある設備の稼働と投資回収成長投資と低採算事業の選別再建の重さはロームが大きい

2.採用人数より、どの職種と事業へ分かれるかを見る

ロームの2025年入社実績は、営業・管理系15人である。村田製作所の2027年入社予定は、事務系総合職30~50人である。時点と実績・予定が違うため、人数だけで間口の広さを決めることはできない。

どちらも、一つの採用区分から営業、SCM・生産管理、調達、経理、人事、法務、ITなどへ分かれる。募集職種に名前があることと、その職種へ毎年配属されることは同じではない。職種別、事業別、勤務地別の配属人数が公表されていないため、面接や条件面談で、直近3年の実績を質問して確かめる必要がある。

村田製作所の総合職は、配属後に約5ヵ月の工場実習がある。製品、工程、品質、供給を学べる仕組みだが、実習先や勤務形態は暮らしにも関わる。ロームは、国内製造会社を前工程のRDMと後工程のRAMへ組み替えたため、本体と製造会社の間で、出向、評価、勤務地がどう決まるかを分けて見る必要がある。

採用・配属ローム村田製作所判断で見ること
文系系統営業・管理系事務系総合職どちらも複数職種を含む
公表人数2025年入社実績15人2027年入社予定30~50人実績と予定を混ぜて順位を付けない
初期配属本人希望、適性、事業上の必要本人希望、適性、能力、会社の必要第1希望が通った割合を見る
工場との関わり製造会社、前工程、後工程へ近い約5ヵ月の工場実習勤務地、勤務形態、実習後の配属
グループ会社勤務RDM、RAM、海外会社国内外の製造子会社、営業会社出向か転籍か、評価者、処遇、戻る実績

3.無料版での小結論

通常の就職判断では、村田製作所を上に置く。営業利益率、平均年間給与、主力事業の資金回収力、顧客と工場の広がりを合わせると、入社後に選べる仕事を増やしやすいからである。

しかし、ロームを外してよいわけではない。SiC、GaN、アナログLSI、AIサーバー電源など、半導体と電力変換へ深く入りたい人には、ロームが合う可能性がある。担当製品、職種、勤務地が内定時にある程度見え、設計採用、工場稼働、在庫、投資回収のどれかを担当し、その結果を説明できることが前提となる。

村田製作所も、コンポーネント事業へ入れるとは限らない。デバイス・モジュール事業や本社部門へ入る場合には、製品や顧客を担当し、工場と関わり、数値目標の結果を説明できるかを改めて見る必要がある。

無料版で読めるのは、ここまでです。

無料版レポートでは、通常は村田製作所を優先的に考える理由と、半導体に深く関与したい人にはロームという選び方もあることを示しました。また、村田製作所にも低採算事業があり、ロームにも利益を出すLSI事業があるため、会社全体と配属先を分けて見る必要があることも整理しました。

しかし、この無料版レポートだけでは、営業、SCM・調達、事業管理・経理、人事・法務・ITの各職種で、どちらの会社が上かまでは判断しきれません。勤務地、評価と昇進、3年後・5年後・10年後・40代以降、その後に選べる仕事の問題も残っています。

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引用元・参照資料

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本レポートを使用したこと、または使用しなかったことによって発生したいかなる損失に対しても、武山益嘉は、一切、責任を負いません。


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