NTTデータ 【簡易版:非会員用】

最終更新日:2026年7月24日
著者:武山益嘉

NTTデータ【簡易版:非会員用】―三社共同採用と国内・海外の分かれ道

先に結論を示す。

NTTデータは、官公庁、金融機関、大企業の大きなシステムを支える国内IT会社であると同時に、売上高の約6割を海外で稼ぎ、データセンターとAIへ大きな資金を投じる世界規模のITサービス会社である。2026年3月期の連結売上高は5兆46億円、営業利益は4,882億円となった。

しかし、日本で入社を考える人が、5兆円企業の仕事を一まとまりに考えてはいけない。新卒採用は、株式会社NTTデータグループ、株式会社NTTデータ、株式会社NTT DATA, Inc.の三社が共同で行う。どの会社と雇用契約を結ぶか、国内の公共・金融・法人のどこへ入るか、コンサルティングやAIへ入るか、既存システムの保守・更新へ入るかで、日々の仕事は大きく違う。

私はNTTデータを見るとき、海外売上比率や会社の大きさより先に、雇用法人、顧客業界、担当工程の三つを見る。海外売上が約6割でも、日本採用の社員が海外案件へ移れるとは限らない。大きな案件へ加わっても、顧客との要件合意、案件利益、品質、契約変更を任されなければ、あとに残る経験は薄くなる。

応募から配属までの分かれ道

三社共同の採用へ応募する

雇用契約を結ぶ会社を確かめる

公共・社会基盤、金融、法人、コンサルティング、テクノロジー、海外のどこへ入るかを確かめる

新規構築、作り替え、保守・運用、データセンターのどの仕事へ入るかを確かめる

顧客との合意、予算、利益、品質のうち、何を任されるかを確かめる

1.NTTデータは一つの会社名で仕事を決められない

NTTデータの強みは、国や社会を支える大きなシステムを長く任されてきたことである。中央府省、自治体、銀行、保険、決済、大企業の基幹業務では、止めにくい仕組みを作り、古い仕組みを新しいものへ移し、長く守り続ける力が求められる。

この会社で仕事を学ぶ価値は大きい。顧客の仕事を調べ、要件を決め、協力会社と役割を分け、予算、納期、品質を見ながら本番稼働まで進める経験は、同業他社、ITコンサルティング会社、顧客企業のIT・DX部門でも生かしやすい。

一方、大きな案件ほど役割は細かく分かれる。会議を開き、進捗表を直し、社内説明資料を作り、協力会社から届いた話を顧客へ伝えるだけでも、仕事は一日を埋める。しかし、そのまま年数を重ねると、自分が何を決め、どの数字を良くしたのかを話しにくくなる。

向いている人慎重に考えた方がよい人入社前に確かめる事実
官公庁、金融、大企業の仕事を長く学びたい人会社名だけでAIやコンサルティングへ進めると考える人顧客業界、配属本部、新規構築と保守の割合
大型案件の要件、契約、品質、採算を担いたい人会議と調整を続ければ、社外でも通じると考える人若手が任される担当額、予算、品質、契約変更
海外ITやデータセンターへ進みたい人海外売上が大きければ、自分も海外へ行けると考える人日本から海外へ移った人数、職種、期間、雇用法人

2.三社共同採用でも、雇用契約を結ぶ会社は一社である

NTTデータグループは、2023年7月から三社の役割を分けている。株式会社NTTデータグループは、グループ全体の方針、研究開発、投資、統治を担う持株会社である。株式会社NTTデータは国内事業を担い、株式会社NTT DATA, Inc.は海外事業の方針と運営を担う。

2027年度新卒採用は、この三社が作る「NTTデータグループ採用共同事業体」が行った。採用の窓口は一つだが、入社する会社は三社のいずれかである。募集要項にもそのことが書かれている。

法人主な役割入社後に考えられる仕事応募時の注意
株式会社NTTデータグループグループ全体の方針、研究開発、投資、統治経営企画、財務、法務、人事、研究、グループ管理国内の顧客向けSIを直接担う会社ではない
株式会社NTTデータ国内の公共・社会基盤、金融、法人、コンサルティング、技術営業、SE、PM、コンサルタント、AI、クラウド、スタッフ日本の顧客案件へ入る人の中心だが、分野と本部で仕事が違う
株式会社NTT DATA, Inc.海外事業の方針、統治、海外会社との連携海外事業管理、グローバル企画、投資、海外会社との取りまとめ海外顧客の現場へすぐ配属されるとは限らない

共同採用だから、入社後も三社を自由に行き来できると考えるのは早い。雇用契約、給与、評価、退職金、異動の決め方は、入社する会社によって分かれる。出向で別会社へ働きに行く場合と、雇用契約ごと移る場合も同じではない。

内定前には、雇用法人、最初に働く会社、給与を決める会社、評価する人、出向の有無を書面で確かめたい。海外志望者は、「海外事業へ関われます」という説明より、日本採用から海外会社へ出向・転籍した人数を聞く方が役に立つ。

3.上場廃止後は、NTTグループ全体の中で読む

株式会社NTTデータグループは、NTTによる完全子会社化に伴い、2025年9月26日に東京証券取引所プライム市場の上場を廃止した。旧証券コードは9613である。現在は非上場会社であるため、冒頭へ現行の証券コードとして9613を載せてはいけない。

上場廃止後は、NTTデータを独立した上場会社としてだけ見ることはできない。NTTは、AI、IOWN、通信網、地域の営業網とNTTデータのITサービスを組み合わせ、大型買収やデータセンター投資の決定を速める考えを示している。

変わった点会社側が見込む利点社員が見るべき点
NTTによる完全子会社化NTTの研究、通信、地域顧客との連携を進めやすいNTTグループ内の役割分担、重なる管理部門のまとめ直し
独立上場会社ではなくなった大型投資や買収を決めやすいNTTデータだけで決められる範囲、人事への親会社方針の影響
データセンター投資を広げるAI向けの電力、土地、建物、クラウド需要を取り込むIT開発とは違う建設、設備、電力、投資管理の仕事が増える

完全子会社化を「安定がさらに強まった」とだけ読むのは危ない。親会社との連携で仕事が広がる面はあるが、重なる部門のまとめ直しも起こり得る。とくに持株会社や管理部門へ入る人は、5年後も同じ会社、同じ部署で働く前提を置かない方がよい。

4.5兆円の売上と4,882億円の営業利益をそのまま受け取らない

NTTデータグループの連結売上高は、2024年3月期の4兆3,674億円から、2026年3月期には5兆46億円へ増えた。2023年3月期に海外のNTT Ltd.を連結したため、以前と比べると売上高と従業員数が大きく増えている。

決算期連結売上高営業利益当期利益・親会社帰属利益連結従業員数
2024年3月期4兆3,674億円3,096億円1,339億円193,513人
2025年3月期4兆6,387億円3,239億円1,425億円197,777人
2026年3月期5兆46億円4,882億円2,651億円上場廃止後の決算資料では記載なし

2026年3月期の営業利益4,882億円には、海外のデータセンターを外部へ譲渡した利益1,295億円が含まれる。営業利益が前年から1,643億円増えたうち、大きな部分は毎年繰り返す利益ではない。

私は、この年度の利益をそのまま本業の力として使わない。会社はデータセンターを売って撤退したのではなく、外部の資金を入れながら新しい設備へ投資する仕組みを進めている。入社先として見るなら、売却益を除いた国内ITと海外ITの利益、建設中の設備、土地、電力、資金を扱う仕事へ目を向けたい。

2025年3月末の旧上場会社、株式会社NTTデータグループの平均年間給与は923万4,000円だった。しかし、対象は持株会社の1,592人である。この数字を株式会社NTTデータや国内グループ会社の社員の給与として使ってはいけない。

5.海外売上約6割と、本人の海外配属は別の話である

2026年3月期の売上高は、日本が2兆727億円、海外が3兆92億円だった。海外比率は約60%である。会社は70を超える国と地域へ広がり、海外のITサービス会社やデータセンターを抱える。

海外売上が大きいことは、会社全体の仕事が日本だけに偏っていないことを示す。しかし、日本で公共部門へ入った人が、そのまま北米や欧州の顧客案件へ移れるわけではない。海外会社には、それぞれの顧客、採用、給与、管理職がいる。

日本から海外へ進む道には、グローバル顧客の日本側担当、海外会社との共同提案、持株会社やNTT DATA, Inc.での管理、海外赴任、買収後の会社統合などがある。どの道も、会社全体の海外売上比率だけでは人数が分からない。

6.国内では公共、金融、法人がそれぞれ大きい

国内事業の2026年3月期売上高は、公共・社会基盤8,427億円、金融7,618億円、法人5,960億円だった。営業利益率はそれぞれ12.6%、12.0%、11.2%であり、どれか一つだけが会社を支えているわけではない。

国内分野2026年3月期売上高営業利益仕事の特徴見落としやすい点
公共・社会基盤8,427億円1,066億円、利益率12.6%中央府省、自治体、交通、通信。制度、入札、年度の影響が大きい特定省庁の手続きだけに詳しくならないか
金融7,618億円912億円、利益率12.0%銀行、保険、決済など止めにくい仕組み夜間の切替、障害対応、長い既存案件
法人5,960億円667億円、利益率11.2%製造、流通、通信など民間企業。クラウドやデータ活用も扱う価格争い、短い納期、複数案件の掛け持ち

公共では、国の制度や調達を深く学べる。金融では、高い品質と移行の経験を積みやすい。法人では、競合と争いながら顧客の仕事を作り替える機会がある。三分野は、同じSEや営業でも、忙しくなる時期と評価される数字が違う。

7.「コンサルティング×AI」は会社の方針であって、配属の約束ではない

株式会社NTTデータは2026年7月、公共・社会基盤、金融、法人に加えて、コンサルティングセグメントを新設した。技術部門も組み替え、AI事業本部、テクノロジービジネス事業本部、インフラストラクチャ事業本部を置いた。

会社は、顧客の経営課題を考える段階から、AIを使った試作、システムへの組み込み、運用、効果の測定までつなごうとしている。従来の大型SIだけでは、AIで作業時間が減る中、売上と利益を伸ばしにくいという事情もある。

しかし、国内売上の大半は、今も公共、金融、法人の顧客案件から生まれる。採用者の多くが新設のコンサルティングやAI組織へ入るとは公表されていない。古いシステムの保守、更新、移行もなくならない。

入社を考える人は、組織名より、顧客の仕事を調べるところから関われるか、AIを本番へ組み込むか、導入後の削減時間や売上増まで測るかを確かめたい。AIの説明資料を作っただけでは、顧客の仕事を変えた経験にはなりにくい。

8.無料版で分かるNTTデータの主な注意点

NTTデータは、公共、金融、法人の大型IT案件と、海外IT、データセンターまでを同じ企業グループで手がける会社である。顧客の業務、技術、契約、品質、採算のどれかで責任を深めたい人には、他社では得にくい仕事がある。

しかし、三社共同採用、持株会社、国内事業会社、海外事業会社、多くの子会社が重なるため、会社名だけでは仕事が分からない。海外売上約6割という数字も、旧持株会社の平均年間給与923万4,000円も、入社する人の配属や給与をそのまま示す数字ではない。

国内ITへ進むなら、公共、金融、法人のどの顧客を学ぶか、新規構築と保守・更新のどちらへ入るかを見る必要がある。海外へ進みたい人は、日本から海外へ移った人数と職種を確かめたい。コンサルティングやAIへ進みたい人は、試作や資料作成だけでなく、本番導入と効果の測定まで担えるかを見る方がよい。

私が応募するなら、内定前に「三社のどこと雇用契約を結び、この部署の若手が過去3年に案件利益、品質、契約変更のどれかを自分の数字として任された例は何人ありますか」と質問する。NTTデータでは、会社全体の大きさと、自分が決められる仕事の大きさを分けて見なければならない。

無料版で読めるのは、ここまでです。

無料版では、三社共同採用と雇用法人の違い、2025年の上場廃止、5兆円を超えた売上高とデータセンター売却益、海外売上約6割の読み方、公共・金融・法人の違い、2026年のコンサルティング・AI組織までを整理しました。

しかし、実際に入社するかどうかは、営業、SE、PM、コンサルタント、R&D、運用、ファシリティ、スタッフの仕事を分け、評価、社内公募、勤務地、AIで減る作業、3年後・5年後・10年後・40代以降まで見なければ決め切れません。

会員向けフル版レポートでは、職種ごとに残すべき売上・利益・品質の数字、国内グループ会社との役割分担、社内公募とNTTグループ公募の実数、社内で進む道と社外で選べる仕事、面接や条件面談で使う27個の逆質問まで詳しく解説しています。

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引用元・参照資料

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